いくじなし - 2/4

ピュア⇔執着な年下攻め×気持ちいいことに弱い年上受け。

 

「んっ……うぅ、」
 ベッドの上で横向きに寝て、少しずつ拾ってしまう快感に全身を震わせていた。
 今、俺の身体は自分で挿入したエネマグラに支配されている。
 一人暮らしを始めてから、俺は日頃のストレスをオナニーで発散するようになってしまった。色々なグッズを買うようになったのは今年からで、興味のあるものは何でも試している。
 そろそろ止めなければいけないと、本気で考えている。けれど、絶頂を迎えた後のふわふわした心地の中で何も考えられなくなる感じに虜になってしまった。
 そして、三ヶ月前からついにアナル開発を始めてしまった。後ろで十分に快感を得られるようになってから、俺は週末の時間をアナニーに費やすことになっていた。
「うぅ……♡」
 先ほどから快感を拾う感覚が少しずつ大きくなっている。へこへこと腰が揺れてしまっているのがわかって、息が浅くなる。
(俺、変態みたいだ……♡)
 呼吸を意識したら、きゅうきゅうと内側が収縮するのを感じた。あ、くる……♡
 これから少しずつ、制御が利かなくなって、溢れるみたいに腰の辺りから気持ちよさが全身に広がって、頭がぼーっとして……期待にゾクゾクして、身体が火照ってくる。
「ぁ、あ、っ……♡ ん、~~っ……♡」
 こうして、声を出してみるのにもハマっている。快感に素直になればなるだけ、気持ちよさが増すような気がして癖になっていた。
 そうしている間にもアナルはきゅんきゅんとエネマグラを締め付けることを繰り返し、下半身が緊張してきた。太腿がぴくぴくしている。
(あ、もうくるっ……♡ くるっ♡)
 気持ちいい波がいっぱい押し寄せて、俺はかぶりを振るように身を捩る。髪がぱさぱさとシーツを掠る。
(くるっ♡ 気持ちいいのくるっ♡ だめっ♡ だめっ気持ちいいっ♡)
「あ、あ~~っ……♡」
 絶頂。引き絞るような声が喉から出た。全身がガクッ、ガクッと大きく痙攣して、胸の中で何かが弾けたようになる。そして、待ち望んでいた甘い倦怠感が頭に広がる……。
 荒い呼吸を吐いてしばらく耽溺していると、頭上に放っていたスマホが音を立てた。
 少し落ち着いてから確認すると、きょうくんからだった。
『明日また連絡するね』
 杏くんは、俺より三つ年下の、実家の近所に住む幼馴染だ。家族ぐるみの付き合いがあったが、俺が東京の大学に進学したこともあり、ここ数年は会う機会が少なくなっていた。
 先日、杏くんから電話がかかってきて、俺と同じ大学に合格したのだという。そして東京観光のついでに俺の住む部屋に泊まりに来るという約束をしたのだ。
 明日になれば幼馴染を招くこの部屋で、下品にオナニーをしている自分が恥ずかしくなって、俺は尻に手を伸ばした。ゆっくりとコンドームを被せたエネマグラを引き抜いてベッドから起き上がるとまだ脚がガクガクしていて、少しだけ快感の余韻を思い出した。
(部屋、片づけなきゃな……)
 記憶の中の杏くんの顔をぼんやり思い出しながら、俺は風呂場へ向かった。